【東近江】 卵からふ化したばかりのニゴロブナのふ化仔魚(しぎょ)の放流が22日、東近江市小川町の水田で行われた。この日は地元の園児らも放流に参加し、地域の環境保全活動に触れていた。
この放流は、河川の環境浄化や種苗生産など水田がもつ多面的機能を地域の子どもたちに知ってもらおうと、東近江市小川町の小川農事改良組合が主体となってほぼ毎年この時期に実施しているもので、今回で8回目。滋賀県の特産品「ふなずし」の原材料ともなるニゴロブナの減少もあることから、琵琶湖栽培漁業センターや滋賀県水産試験場の協力を通じて今年も286アールの水田に合計114万4千尾のふ化仔魚を放流した。
この日は、地元の八宮こども園の4歳児と5歳児(計55人)も放流を体験。園児たちはふ化仔魚が入ったバケツを持って「大きくなってね」と声をかけながら放流し、広い水田で泳ぐ様子を見守っていた。
ふ化仔魚の大きさは2~3ミリで、水田の豊富なプランクトンをエサにしながら成長する。2~3センチまで成長した約1ヶ月後の水田の中干しの時期に近くの大同川に流下させるという。
この事業の発起人となる薗博(74)さんは「田んぼはお米だけでなくそこに生息する生物たちの生態系が存在し、多面的機能があることを知ってほしい。これから大人になっていく子どもたちにも伝われば」と話し、同組合長の八谷勝美さん(62)も「教育の一環につながれば」と思いを語った。