◇東近江
社会福祉法人「八宮会」八宮保育園の園児四十五人が、ニゴロブナのふ化仔魚(しぎょ)の放流をこのほど、東近江市小川町東小田地域の水田で行なった。
今年で二回目となる放流は、小川営農組合と水田の耕作者四人、滋賀県水産振興協会、琵琶湖栽培漁業センター、滋賀県水産試験場の協力で行われ、開園三周年記念も兼ねた同保育園の園児のほかに、主催の耕作者代表の薗博さん(東近江市小川町)と組合員らが集まった。
滋賀県の特産品のふなずしの原材料となるニゴロブナは、減少傾向で、県などでは琵琶湖周辺の水田を活用した植苗生産に取り組んでいる。
また、放流が行われた同地域の水田近くは、水かさが多い水路が流れており、ニゴロブナを放流するには適した場所で、再び琵琶湖に多くのニゴロブナが生息し、近くに流れる大同川(一級河川)に多くの魚が暮らせることを目指して開かれた。
現場で、ふ化仔魚の説明や、田んぼは仔魚にとって安全といった放流の意味などを園児に教えた県水産試験場の亀甲武志さんは「魚のことをできるだけ多くの子どもたちに知ってほいしい」と話し、約十万尾のニコロブナのふ化仔魚を園児たち一人ひとりに配った。
また、前日産まれたばかりのニコロブナを見て園児たちは「ちいさい」や「目が大きい」など話し、体長一センチメートルにも満たない仔魚に興味をもっていた。
園児たちは「大きくなってね」や「元気になってね」と声をかけながら、約四千六百平方メートルある田んぼに仔魚を放した。
今回、前日放たれたふ化仔魚も合わせて五十万尾放たれたニゴロブナは、特に餌は与えられず、田んぼでの育成期間中、動物プランクトンなどを食べて育ち、一ヶ月後の田んぼの中干しの時期に落水作業を行い、大同川へ流下させる。
落水作業にも園児たちは参加する予定で、薗さんは「子どもたちに魚の成長をわかってもらえたら」と、生きものへの愛情が芽生えることへの期待を語った。